Interview #02

防災分野のエキスパートが語る30年のキャリア

J・Sさん
1991年新卒入社 | 50代

1991年に入社し、航空測量や防災分野などの技術者として長きにわたり活躍する J・Sさん。技術第3部の次長として部のマネージメントを担いながら、地域の安全・安心な社会づくりに貢献し続けています。長年の経験から培った技術者としての哲学、チームワークの大切さ、そして次世代への思いを語っていただきました。

技術者としての信念

Q

現在の業務内容と役割を教えてください。

現在は、技術第3部の次長として、部長の職務を補佐するとともに、部内の業務遂行を管理する等、部のマネージメントにあたっています。また、業務としては、「防災」に関連する分野に携わっています。

Q

過去にかかわったプロジェクトで、特に印象に残っているものはありますか?

防災関連業務に従事し始めた当初、お客様からの厳しいご意見に直面し、精神的な負担を感じていました。しかし、上司や同僚の方々からのご支援によって、その困難を乗り越えることができたことを今でも鮮明に覚えています。

Q

技術者として大切にしてきたことは何ですか?

私が技術者として最も大切にしてきたことは、二つの柱があります。一つ目は、「謙虚な気持ち」です。技術は常に進化し、完璧な答えというものは存在しません。どれほど経験を積んでも、知らないことや理解が及ばないことは必ず出てきます。だからこそ、自分の知識やスキルに固執せず、常に新しい情報や異なる視点を受け入れる姿勢が不可欠だと考えています。そして二つ目は、「お客様の考えに寄り添う」ことです。どんなに優れた技術を駆使しても、それがお客様の真のニーズや課題解決に繋がらなければ意味がありません。技術はあくまで手段であり、目的はお客様の成功にあるからです。この二つの柱は、技術者としてお客様に貢献し、自身の技術力を高めていく上で、これからも大切にし続けたいと考えています。

会社の変化と成長

Q

社会貢献を実感した経験について教えてください。

私が社会貢献を強く実感した経験として、洪水の危険性がある地域におけるハザードマップ作成に関わる業務が挙げられます。この業務では、単に技術的な地図を作成するだけでなく、住民の皆様が災害リスクを正しく認識し、適切な避難行動に繋げるための実効性を重視しました。特に印象深かったのは、完成したハザードマップを活用した住民向け勉強会を企画・実施した際のことです。勉強会終了後、複数の住民の方々から「これまで漠然としていた災害の危険性が、ハザードマップと説明を通じて具体的に理解できた」「家族と避難経路について話し合うきっかけになった」「避難に対する意識が格段に高まった」といったお声を直接頂戴しました。この瞬間、自身の技術と知識が、地域社会の安全確保という喫緊の課題に対し、住民の皆様の行動変容を促すという形で直接貢献できたことを深く実感いたしました。技術者として提供したソリューションが、単なる情報提供に留まらず、人々の命と安全を守る意識向上に繋がったことは、私にとって何よりの喜びであり、今後の業務における大きな原動力となっています。

Q

若手の育成において意識していることはありますか?

まず第一に、「まずは、自分で考えてやってみる」という姿勢を促すことです。新しい知識やスキルを習得する上で、最初から完璧な答えを求めるのではなく、与えられた課題に対して自ら仮説を立て、試行錯誤しながら実践する経験が不可欠だと考えています。これにより、自律的な問題解決能力と、困難に直面した際の粘り強さが養われます。
そして、その実践の中で「間違えたことがあれば、軌道修正」を共に行うことを重視しています。若手が自ら考え、行動した結果、たとえ望ましくない結果になったとしても、それを失敗として捉えるのではなく、学びの機会として最大限に活用します。何が原因で、どうすれば改善できるのかを共に深く掘り下げ、具体的な改善策を導き出すことで、次に活かせる実践的な知恵へと昇華させていきます。
このプロセスを通じて、若手は単に技術を習得するだけでなく、自らの思考プロセスを客観視し、課題解決に向けたアプローチを体系的に学ぶことができます。結果として、若手が自信を持って業務に取り組めるようになり、将来的に自立したプロフェッショナルとして成長していくための土台を築けると考えています。

Q

長年働いてきた中で、会社の変化をどう感じていますか?

長年、この会社で働いてきた中で、会社の変化については深く感じています。当社は北海道における建設コンサルタントの老舗として、地域のインフラ整備に貢献し続けてきました。この長い歴史の中で、変化は常に存在し、その度ごとに会社が柔軟に対応してきたと認識しています。特に印象深いのは、「そのとき、そのときの状況に応じた」変化への対応力です。例えば、時代とともに住民ニーズの多様化や環境問題への意識の高まり、さらには技術革新の波が押し寄せました。そうした変化に対し、当社は単に既存の業務を継続するだけでなく、新しい技術分野への投資、地域コミュニティとの連携強化、そして防災や減災といった新たな社会課題への積極的な取り組みを通じて、事業領域を広げてきました。これらの変化は、時に大きな挑戦を伴うものでしたが、常に「北海道の発展に貢献する」という創業以来の使命を軸に、環境の変化に最適化しながら進化してきた結果だと捉えています。老舗としての確固たる基盤を持ちつつも、現状に安住せず、常に未来を見据えて変化し続けてきたことが、当社の強みであり、私が働き続ける上で魅力に感じている点でもあります。

技術の進歩への対応

Q

専門分野の技術の進化にどう対応してきましたか?

専門分野の技術進化への対応につきましては、国等の動向に常にアンテナを張り、最新の情報収集に努めております。その上で、数ある技術の中から取捨選択をしっかり行い、当社の事業にとって有益な技術を積極的に取り入れてきました。

Q

今後とり続けたい分野や目標があれば教えてください。

これまで培ってまいりました防災分野における専門知識と経験を活かし、今後も継続的にこの分野の発展に貢献していくたいと考えています。特に、これまでの取り組みをさらに深化させ、より実効性の高い防災対策の実現に向けた技術革新やソリューション開発に尽力していきたいと思います。

Q

働き方やライフスタイルの変化について、感じていることはありますか?

働き方とライフスタイルの変化は、企業にとっても個人にとっても、新たな機会と課題をもたらしていると思います。これらの変化を前向きに捉え、柔軟に対応していくことが、今後のビジネス成功の鍵となると思っています

次の世代へ
伝えたいメッセージ

技術者としての専門性を高めつつ、変化に適応する柔軟な対応力を持ち、そして何よりも謙虚な心で人に向き合うこと。これらが、皆さんがこれからのキャリアを築き、組織に貢献していく上で、きっと大きな力となると思います。皆さんのさらなる活躍を心から期待しています。